展示会のリード数を増やしたい。
ターゲット、顧客課題、訴求、ブース構成、当日運営を段階的に見直し、当初は約100件だった獲得リード数が、最大で約2,000件まで増えました。
ただし、これは私が担当した展示会での過去実績です。展示会の規模、商材、来場者層、ブース面積、営業体制などによって結果は異なります。同様の成果を保証する数字ではありません。
そして本当に書きたいのは、件数が増えたことより、そのあとに起きたことです。
リードが増えると、営業が優先して追うべきホットリードが埋もれました。量の改善によって、今度は追客の負荷と優先順位という別の問題が見えるようになったのです。

数が増えれば、次の仕事も増える
リード数は、展示会の状態を知るための大切な数字です。少ないままでよいわけではありません。
一方で、名刺やスキャンデータが増えた瞬間、営業が判断しなければならない対象も増えます。どの企業から連絡するのか。会場でどのような課題を聞いたのか。次に何を約束したのか。
そこが記録されていなければ、営業に渡るのは「連絡先の多い一覧」です。展示会担当者には会場での記憶があっても、受け取る側には同じ情報がありません。
件数を増やす取り組みと、増えたリードを次へ渡す取り組みは、続いてはいますが同じ仕事ではありませんでした。
「集める」と「選んで渡す」を分けて考える
会場で多くの接点をつくるには、足を止めてもらう訴求やブースの構成、スタッフの動きが関わります。
その中から優先すべき相手を判断するには、別の準備が要ります。
- 何を聞くか
- どの状態を優先するか
- 会期中に商談を設定する条件は何か
- 営業へ何を残して渡すか
私は、ヒアリング項目、判定基準、商談設定ルール、営業への引き渡しを見直しました。
ここで難しいのは、項目を増やせば解決するわけではないことです。接客中に記録できない量なら、現場では使えません。反対に、名前と会社名だけでは、その後の判断に足りません。
会場で無理なく確認できることと、営業が次の一手を決めるために必要なこと。その間をつなぐ項目を決める必要がありました。
「多い一覧」を渡すだけでは、判断まで渡せない
展示会担当者から見れば、獲得件数の増加は準備と運営を見直した結果です。その数字を報告したくなるのは自然です。
しかし営業の立場に移ると、一覧の行数よりも、最初に連絡する相手を選べるかどうかが重要になります。展示会担当が見ている「集まった量」と、営業が見ている「次に動ける情報」は、同じデータの中でも焦点が違います。
だから、展示会後に営業へ渡す資料だけを整えても足りません。会場で何を聞くか、誰が記録するか、どの状態なら次の約束へ進むか。入口から出口までつながっていなければ、最後に並べ替える材料が残らないからです。
ホットリードが埋もれるのは、会期後だけの問題ではない
展示会が終わってから大量のリードを見返し、優先順位をつけようとしても、会場で交わした会話までは戻ってきません。
「反応がよかった」「詳しく話を聞いてくれた」といった印象も、スタッフごとに基準が違います。印象を否定するのではなく、あとから別の人が判断できる情報に変えておくことが必要です。
その準備は、会期後ではなく展示会前に始まります。
今回、どの企業や担当者を優先するのか。どの課題を確認できたら次の接点につなげたいのか。商談をその場で設定するのはどのような場合か。
先に言葉にしておけば、スタッフが聞く内容と、営業へ渡す情報を合わせられます。
ここで決めたいのは、すべてのリードを細かく順位付けすることではありません。営業が先に見たい相手と、その理由が分かる状態をつくることです。優先しないと判断した相手にも、将来の接点や別の案内が必要な場合があります。白黒に分けるより、次に取る行動を区別できることが重要です。
会期前に営業と話しておけば、会場で聞けない質問や、記録しても使わない項目にも気づけます。判定基準は展示会側だけで完成させず、受け取る側が本当に判断できるかを確認します。
詳しい考え方は、ホットリードは、展示会が始まる前に定義するで整理しています。
数を否定しない。その先を見落とさない
リード数が増えたこと自体には意味があります。接点がなければ、その先の会話も生まれません。
ただ、件数だけで展示会の仕事を終えると、増えた分だけ営業へ判断を預けることになります。営業側の負荷を考えずに「たくさん集まりました」と渡しても、展示会で得た情報を十分に生かせません。
私にとって約100件から最大約2,000件という変化は、完成形ではありませんでした。数を増やしたことで、見なければならない次のボトルネックがはっきりした数字です。
会場で誰と出会ったかだけでなく、何を聞き、どう判断し、誰へどのように渡すか。
数の次には、情報の流れを整える仕事が待っています。
