接客・営業連携約8分

ホットリードは、展示会が始まる前に定義する

展示会後に名刺を見返すだけでは、優先すべき見込み客を判断できません。出展目的からヒアリング項目、判定基準、次の行動へ落とす考え方を、空欄の判定シートに沿って整理します。

ホットリードは、展示会が始まる前に定義するをテーマにした設計図風の模式図

リードが増えたとき、営業が優先して追うべき相手が埋もれました。件数は伸びても、優先順位が営業へ明確に伝わりませんでした。

そこで見直したのが、ヒアリング項目、判定基準、商談設定ルール、営業への引き渡しでした。

ここでは、今回の出展目的に照らし、営業が優先して次の接点へ進める相手を「ホットリード」と呼びます。

会期後の名刺だけでは、会場の温度は分からない

名刺には所属や連絡先が載っています。しかし、その人が何に困っていたのか、どの程度検討しているのか、次に何をする話になったのかまでは分かりません。

会期後に一覧を開いても、そこに情報が残っていなければ、担当者は一件ずつ同じところから確認することになります。

「反応がよかった人を優先する」という決め方も、現場では揃いにくいものです。何をもって反応がよいとするのかが、人によって違うからです。

感じのよさを点数へ変えるのではなく、次の判断に必要な事実を決めておく。その方が、会場の印象を営業が扱える情報に変えやすくなります。

会期後の選別が長引くとき、原因は作業量だけとは限りません。「選ぶための材料を、会場で取る」という発想が準備に入っていないことがあります。名刺を集める設計はできていても、その後の判断材料を集める設計がない状態です。

ホットリードを先に定義するのは、来場者を乱暴にふるい分けるためではありません。限られた営業の時間を、今回の出展目的に合う次の接点へ配分するためです。

ホットリード判定シート(記入前)を整理した設計図風の模式図
ホットリード判定シート(記入前)考え方の模式図

判定基準は、出展目的からつくる

一律のホットリード定義はありません。商材、展示会で狙う相手、営業体制が違えば、優先したい状態も変わります。

最初に戻りたいのは、今回の出展目的です。

そのうえで、営業が次の接点で何を判断したいのかを考えます。そこから逆算すると、会場で確認したいことが見えてきます。

判定シートをつくるなら、次の五つを営業と確認します。

  • 今回、優先する企業・担当者:業種や規模だけでなく、話したい部門や役割まで置く。
  • 確認したい課題:相手の業務の困りごとを、短い会話で確認できる粒度にする。
  • 検討状況:情報収集か、具体的な検討かを、決めつけずに確認する。
  • 次回アクション:資料送付、担当者からの連絡、打ち合わせなど、会場で話した次の行動を残す。
  • 営業へ渡す優先区分:区分名だけでなく、そこへ入る条件を合わせる。

空欄のまま、営業と一度見てみる

最初から完成した判定表をつくる必要はありません。むしろ空欄の見出しを並べ、営業と一緒に埋める方が、認識の違いが見えます。

「優先したい企業」は決まっていても、「確認したい課題」が曖昧かもしれません。「検討状況」は聞きたいものの、その答えを次の行動へどう結びつけるかが決まっていないかもしれません。

埋められない欄があれば、その点を展示会前に営業と話します。

ヒアリングは、判定のための尋問にしない

必要な情報を全部並べると、質問は増えていきます。けれど、展示会の接客は調査票を埋める時間ではありません。

判定基準をつくる目的は、質問を増やすことではなく、聞くことを絞ることです。

今回の目的に照らして、本当に会場で確認する必要があるのは何か。別の機会に確認できるものは何か。スタッフが会話を続けながら記録できるか。

個人情報も、判断や次の連絡に必要な範囲を超えて集める理由はありません。

質問文を一字一句そろえるより、何を知りたいのかを共有しておく方が、相手の話に合わせやすくなります。完成した台本を読むのではなく、会話の中で確認したい柱を持っておくイメージです。

判定できない、という記録も残す

短い接客では、必要な情報をすべて確認できないこともあります。その状態を無理に高・中・低のどこかへ入れると、見た目だけ整った判定になります。

確認できなかったことが分かれば、営業は次の連絡で何を聞くか決められます。分からないものを分からないまま渡すことも、引き渡しに必要な正確さです。

基準をつくると、すべてを判定したくなります。けれど、展示会の限られた会話で得られる情報には限界があります。判定不能を失敗とせず、次に確認する項目へ変えます。

商談設定の条件も、先に決めておく

ホットリードの判定と、次の行動は別々にしない方がよいと考えています。

高い優先度にしたのに、会期後の連絡方法が決まっていない。反対に、その場で打ち合わせを設定したのに、営業へ会話の内容が届かない。こうした分断を避けるためです。

どのような状態なら会期中に商談を設定するのか。後日連絡する場合、営業へ何を引き渡すのか。

私は、ヒアリング項目や判定基準と合わせて、商談設定ルールと営業への引き渡しも設計しました。判定はラベルを付ける作業ではなく、次の行動を選ぶための作業だからです。

現場で使える言葉になっているか

判定基準が細かくても、当日のスタッフが迷うなら機能しません。

展示会前の打ち合わせでは、次の点を確認できます。

  • 同じ情報を見たとき、同じ優先区分を選べるか
  • 会話のどこで確認するか想像できるか
  • 記録項目が多すぎないか
  • 判定のあとに取る行動が決まっているか

ここで答えが分かれる箇所は、本番でも分かれるはずです。基準を増やす前に、言葉の意味を合わせ直します。

なお、基準は固定するためのものではありません。展示会の目的や結果を見ながら、次回に向けて見直す対象です。

スタッフが使ったときに迷った箇所、営業が受け取った後に不足した情報は、次回の修正材料になります。一度で完全な判定基準を目指すより、実際の運用で使えなかった言葉を見つける方が、次の改善につながります。

展示会前の会議で、一つだけ聞いてみる

会期後に「この人は見込みが高そうだった」と選び始めるのではなく、展示会前に、誰を優先したいかを決める。

そのための最初の問いは難しくありません。

今回、営業が最初に連絡したいのは、どのような企業の、どのような状態の人か。

次回の打ち合わせで、この一文を言葉にしてみてください。答えが揃わないところから、必要なヒアリング項目と判定基準が見えてきます。

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